「ったく、なんで俺がいつもこいつのお守りなんかしなくちゃならないわけ?」
スーツの胸ポケットから煙草を取り出しながらそんなことを思っていた昼下がり、突然奴らはやってきた。
いや、降ってきた・・というほうが正しいか。
どさっ、という音とともに、自分の前を歩いていた上司・・などと思いたくもない彼女の前に人が現れた。
10代くらいのガキが二人と男二人。
マントを羽織っていたり、民族衣装のようなものを着ていたり、全員がそれぞれ異なった妙な格好をしている。自分の連れも十分に風変わりだが。
「おい饅頭、たまにはまともな場所に落とせよ」
「いたた、僕としたことが着地失敗しちゃった」
地面から起き上がった全身黒ずくめの男と、銀髪のこちらは白で統一された服装の男が口を開いた。
」
「だって、モコナだってどこに飛ばされるかわかんないんだも〜ん」
間の抜けた声が返事をした。
「きゃあ」
今の音でさっきから没頭していた書類からやっと顔を上げた彼女は運動神経が良い筈もなく、目の前に突然現れた彼らを避けることができず、そのままぶつかってしまった。
「何?何?なんで空から人が落ちてくるの?何で?」
突然のことに、思わず後ろへ飛び退いた。
「いてて、ごめんなさい。大丈夫ですか?」
「いえ、こちらこそいきなりすいません」
薄汚れたマントの少年は丁寧に謝ると起き上がり、彼女に手を差し伸べた。
「ありがとうございます」
少年に手を貸してもらい立ち上がった彼女は、目の前の4人をじっと見つめた。
「あの〜、失礼ですけど・・」
「失礼だよ。な?どうもすいません。さ、とっとと捜査行こう、捜査。」
これ以上厄介なことに巻き込まれたくないと思ったので、間髪を入れずに行きたくもない捜査へと彼女を促す。
「あ〜待ってください、ひとつだけ」
「なんですか?」
「もしかして魔法使いさんですか?」
言ってしまった。繋がりをもってしまった。
「もしかして、この世界の人じゃないとか・・」
「はい、異世界を旅しているんです」
「ワンダフル!」
「し〜ば〜た〜」
巻き込まれてしまった。